- 総合診療科について
- 概 要
概 要
奈良医大総合診療科では、患者様を総合的に診る診療科として、全身を意識した医療、患者様の背景を意識した医療、患者様のこころに寄り添う医療を目指しています。
外来では、内科系新患患者の診療、どこの科でも診療対象になりにくい患者の診療(不明熱,体重減少,全身倦怠感,未診断・末期悪性腫瘍など)、患者の適切な専門科紹介(当日の専門科紹介は2割程度)、約6割の患者は当科で継続診療(安定したらかかりつけ医に逆紹介)を行っています。丁寧な問診、丁寧な診察をモットーに県内のターミナルホスピタルとして、見逃すことのできない責任感のもとに診断、治療に取り組んでいます。
また、ER(Emergency Room:救急救命室)として、救急車(二次救急)や他の医療機関からの急患紹介を受け入れています。(2014年7月現在はスタッフの人数の関係で、一部の時間に限っていますが、将来的には24時間の受け入れを目指しています。)
(追記)2022年4月からは、当科単独のERは終了し、奈良県立医科大学附属病院 平日ERセンターに移行しました。同センターでは24時間365日の2次救急対応の救急車の受け入れを行っておりますが、当科もその一助を担っており、奈良県の救急医療体制の維持に貢献しております。なお、他の医療機関からの急患紹介は従来通り受け付けています。
当科では、新患症例のカンファレンスを毎日行っており、複数の上級医のチェックが入るシステムにしています。
紹介状のない患者様の初診診療を行っていますが、当院は特定機能病院のため、主として他の医療機関から紹介を受けて受診される方を対象として医療を提供することが義務づけられています。ですので、当科を受診される場合でも、可能な限り紹介状の持参をお願いしております。
近隣、院内での急な体調不良などはこの限りではなく、適宜対応しています。
入院治療では、外来からの、診断のついていない患者様、複雑な病態を抱えた患者様の入院受け入れ、ER患者の受け入れ(高度救命センターとの連携)、入院ベッドを持たない診療科(リウマチセンター、糖尿病センターの一部)の入院受け入れを行っております。
2012年4月からの病床再開以降、非常に多彩な病態の患者様の入院治療を行ってまいりました。2年間で、内科認定医試験の全範囲の症例の入院がありました。2014年5月からは当科の病床数が増えましたので、より多くの方の入院治療が可能となりました。
また、当科の特徴として、週1回、多職種(看護師、薬剤師、リハビリスタッフ)との連携した病棟カンファレンスも行っています。病態だけでなく、患者さんの気持ちに答えるような医療を目指し、病態以外の患者様の背景を深く知れるような情報共有を行っています。
当教室の研究業務としては、TTP(血栓性血小板減少症)治療の治験への参加、血栓止血の病態や、膠原病の病因に関する基礎研究などを行っています。
また、高齢者の変形性関節症に対する装具療法の有用性を示すための、多科(整形外科・地域健康医学)・多施設(へき地診療所、地域の病院)共同のランダム化比較試験(RCT:RandomizedControlled Trial)を遂行中です。
(追記)2023年9月からはTTPの患者様に対して、新薬カプラシズマブを用いた、血漿交換を使わない治療の有効性及び安全性を評価する多施設共同試験を行っております。
そして、当科の大きな使命は、患者さんに安心感を持ってもらえるような、こころに寄り添う医療を提供できる総合診療医の育成と考えています。
また、患者さんに寄り添うには、気持ちはもちろんのこと、しっかりとしたレベルの高い知識のみならず、目の前の患者さんが急変した時に、適切に対応出来ることが必要だと考えます。ER診療を指導医の指導下で実践していくことで、2次救急患者対応にも自信をもった総合診療医が育成されていくものと考えます。そして2次救急患者の診療をおこなうERを充実させることで、奈良県の救急医療体制の充実を図りたいと考えています。
医療を取り巻くさまざまな問題、高齢化社会、看取り医療、在宅医療、救急医療などに対応でき、自信とやりがいを持ち、自分がかかりたいと思える総合診療医の育成が、医師本人にとっても、また奈良県の医療にとっても充実と安らぎを与えるものであると信じております。
2014年7月 総合医療学教室/総合診療科
2023年9月 追記